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ジャングルから来た新入り3

posted: 2015.07.18

ジャングルの中を走るからには、現地で生活をしなければなりません。アマゾンの大河のほとりにある村で過ごすこともありました。
川岸といえども、日本とはスケールが違います。白砂のビーチが広がり、海のようです。子供たちは川で水を浴び、しわが顔に深く刻まれた男は沈みゆく夕日をのんびり眺めていました。ゆっくりと姿を消す太陽。空は色濃く染め上げられていきます。
住民は繰り返される日常を楽しみ、畏敬しています。

そうした風景を思い出す機会がありました。こちらに来て町のおじさんたちと酒を飲んでいたときのことです。卓上には焼酎と唐揚げ。酒のつまみは上毛町の話。赤ら顔のおじさんがポソリとつぶやきました。
「何もないのがいいんだ」。
上毛町では平野部から中山間部に入ると、途端に風景が変わります。映画館も、カフェも、書店もありません。四方を木々に囲まれ、時知らず、我知らず、緑の香りに満たされます。聞こえるのは風が吹き抜けたことを知らせる木のざわめき、鳥たちの世間話。森の端では、おばあちゃんが小さな畑を世話して、その脇で猫が昼寝を楽しむ。
何にもないから見えてくる。そんな情景がひそやかに残っています。