トレイルを分かち合う 大瀬和文さんインタビュー1

唐突に、世界で活躍するトレイルランナー大瀬和文さんのインタビューです。昨年の「修験道トレイルin上毛町」にゲストランナーとして上毛の山々を走っていただいた際にうかがったお話です。タイミングを逸して、世に出ていなかった(出せていなかった)幻の記事でして、今年の大会が近づいてきましたので、ここぞとばかりに掲載いたします!

第1回大会のゲストランナー大瀬さん(左)

第1回大会のゲストランナー大瀬さん(左)

↓インタビューの動画はこちらから。

大会の印象はいかがでしたか。

総合的な感じでいうと、地元主体のレースでしたね。いろいろとトレイルランの大会ってこの1、2年で増えてきてるけど、その中でメーカー主体の大会ではなく、貴重な地元の人たちの協力で開催できる大会はこれからのトレイルランニングという文化を育むのに必要な力なのかと思います。

継続するには地元の協力が欠かせません。地元ともに歩むために、トレイルランニングが果たす役割はなんでしょうか。

トレイルランニングが、自然破壊とかマナーが悪いとか、ちまたで言われることもありますけど、地域の外から人が集まったり、廃れていた山道を人が踏み固めることによって登山客もおとずれるルートができることもあります。地域の活性化につながるわけですね。それに、人が山に入るというだけで、野生動物がまちに寄ってこないので解決の手段のひとつじゃないかなと。

たしかに踏み跡がつくだけでも効果的ですね。
人が入ることで山にどんな影響がもたらされますか。

使われていない道をあえて復興させることで、かつて使われていたころのような活気のある道と、自然と触れ合えるコースができるんじゃないかなと思います。今後はこういった地元主体の大会がもっともっと増えていけば、トレイルランニング自体も発展できますし、それによって地域の活性にもなるんじゃないかと思います。

エイドステーションでは、地元の方々が温かいもてなし、ホラ貝でランナーをお出迎え。

エイドステーションでは、地元の方々が温かいもてなし、ホラ貝でランナーをお出迎え。

大会のコースもそういった意図をもってつくりました。コースには九州自然歩道も含まれていますが

名前はあると思うんですけど、人が入らなくなると自然歩道も、荒廃した道になってしまいます。山に入る時に人は一番遭難のリスクを恐れるんで、それがなくなれば、ちっちゃい子からお年を召した方まで幅広い世代が入ってくれるようになる。そこがいいんじゃないかなって。

人が訪れるから、入りやすくなるという循環は理想的ですね。
山はいろんな価値観を持った人を受け入れてくれますよね。

そもそも、わたしもよく山に入っていて言われるのは、山は走るもんじゃないって、すごく言われるんですね。でも実際そうなのかなと色々と(疑問に)思い、日本の歴史を調べていくと、山は村と村をつなぐための交通路であり、生活路だった。走って、駆け抜ける飛脚という人もいただろうし、別に山を走っちゃ行けないなんて思いません。むしろ走ってもいいんじゃないかって思うんですよ。

このトレイルも生活に欠かせない道だったかもしれない。そう考えるのも楽しいものです。

このトレイルも生活に欠かせない道だったかもしれない。そう考えるのも楽しいものです。

いまよりも山が生活に密着していたでしょうし、飛脚が山を走るというのは、日常的なことだったのかもしれません。だからといって、それが現代の山で通じるわけでもありません。
ランナーは何に気をつけるべきでしょうか。

その中で、じゃあ、何に気を付けるかというと最低限のマナー。やっぱり、走って後ろから歩いている人に近づくとびっくりさせてしまう。そういうところで、気遣いながらやれるのかが、たぶんひとつのルールなのかなって思います。
大会運営も、ただ単に山でレースをするのではなく、ひとつの基盤をつくったうえでの大会開催をやっていければ、トレイルランニング=野蛮なスポーツというレッテルを貼られなくてもよくなるんじゃないかなって思っています。

スピード感の違うハイカーとランナーのあり方、これから

脅威ですよね。
トレイルランニングだけが敵になっているんで、そこをどうにかして、まあどうにかする必要もなくて、もっと分かち合えるようにやっていく必要があると思います。その中で僕も今後、そんな活動のひとつをやれれば。そのためにこういった全国のトレイルを回っています。

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大瀬さんは2017年に入り、長野県王滝村に移住し、トレイルランニングを通じて王滝村をPRされています。競技を盛り上げながら、地域に根差してトレイルランニングを浸透させていく活動は、ご自身の思い描く理想の形なのかもしれません。
記事も盛り上がってきましたが、今回はこちらで終了。記事は後半に続きます。

written in 2017.09.28 by 若岡拓也